土橋章宏著『スマイリング! 岩熊自転車関口俊太』を読んだ感想

小説

私的評価

土橋章宏著『スマイリング! 岩熊自転車関口俊太』を、図書館で借りて読みました。

なにかの記事で興味をそそられ、図書館で予約しました。これがなかなか面白く、読みやすいためか、あっという間に読み終えてしまいました。クライマックスは、自転車レース中に発生する困難に遭いながらも、最後には…。そんなありがちな内容ですが胸が熱くなります。

★★★★☆

『スマイリング! 岩熊自転車関口俊太』とは

函館市内の中学校に通う関口俊太は、ロードバイクにあこがれていた。だが、父は失踪。母は水商売で、お金も愛情にも恵まれず、一人、ママチャリでトレーニングする毎日だった……。そんな俊太を回りは憐れみ、あるいはからかう。だが、ある日、岩熊自転車という自転車屋の店長との出会いが、俊太を変えることに! 『超高速!参勤交代』の著者による助け合うことの大切さと、最後まで諦めないことの意味を教えてくれる成長物語。

著者紹介
土橋章宏[ドバシ アキヒロ]
1969年、大阪府豊中市生まれ。関西大学工学部卒業。「超高速! 参勤交代」で第37回城戸賞受賞。2013年に同作の小説『超高速! 参勤交代』で作家デビュー。同名映画で第38回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。作品も第57回ブルーリボン賞に輝く。2015年9月にはシリーズ2作目の『超高速! 参勤交代 老中の逆襲』を刊行。同作は2016年9月「超高速! 参勤交代リターンズ」として映画公開された。他の著書に『幕末マラソン侍』『天国の一歩前』『引っ越し大名三千里』『駄犬道中おかげ参り』など。

中央公論新社(スマイリング!岩熊自転車 関口俊太)

感想・その他

この本は、中学生や高校生が読む本だと思いますが、50過ぎのオヤジが読んでも涙します。泣かせるのが主人公の設定なのです。失踪した父親はもちろん、母親からも冷たくされ、私なら相当グレていたでしょう。しかし、主人公はとても良い子なんです。そんな主人公に感情移入するのは、あたりまえのことです。ですから泣けてしまうんです。また、自転車屋のおっちゃんもいろいろと悩みを抱えています。悩みを抱えた二人が自転車レースを経て、「自分」や「本当に気持ち」を取り戻し再生する。読み終えたあと、晴れ晴れとした気持ちにさせてくれます。

自転車ロードレースを題材にしています。「そんなに上手くいくかよ」とか、なんで中学生がそんな高価な自転車を買ってもらうのかとか、そんなことを思われるでしょう。とくに自転車に詳しいお方には、突っ込みどころ満載だと思います。しかし、この本ではそんな細かいところは置いておきましょう。家族に恵まれず孤独と貧しさに苦しむ少年の主人公が、自転車屋のおっちゃんと親しくなり、そこから前向きに生きてゆく。あくまでも自転車やロードレースは物語の道具、さわやかな青春物語です。


スマイリング! – 岩熊自転車 関口俊太 (中公文庫)

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