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松村益二著『一等兵戦死』を読んだ感想

私的評価

松村 益二/著『一等兵戦死』を、図書館で借りて読みました。

新聞の広告記事でこの本のことを知り、読みたくなりました。かなり興味深く読めました。詳細な戦闘記録ではなく、戦線への移動時にあったことや、考えたことが綴られています。例えば過酷な戦場でのつかの間の休息時とか、突然の戦友の死に直面した時とか。そんな前線における兵隊ちたの等身大の真実が書かれています。

★★★★☆

『一等兵戦死』とは

昭和13年に発刊された本の復刻版です。

戦後GHQによって没収・廃棄された幻の“名作”を完全復刻
支那事変の最前線にのぞむ一人の兵士が赤裸々に綴った真実の記録。

戦後の日本人の記憶からは消されてしまった、勇敢に闘う父祖たちの姿、美しき日本兵の心とは─
昭和13年に刊行された同年上期の〝直木賞候補〟作品。

戦後、日本を占領したGHQ(連合国軍総司令部)は昭和21年、戦前・戦中に出版された7,700点を超える刊行物を「宣伝用刊行物」に指定。これらを、個人宅と図書館を除くあらゆる場所から秘密裏に没収し、
紙パルプに再利用するためとして、事実上の廃棄処分にした。

昭和12年、中国・上海近郊の戦線で、一等兵たちの壮絶な戦いが始まる。
過酷な戦いの日々、つかの間の休息、そして、突然に訪れる戦友の死─
涙なくしては語れない、前線兵士たちの、真実の姿がここにある。

著者紹介
松村益二[ムラマツ エキジ]
大正2(1913)年、徳島市に生まれる。文化学院文学部卒業後、徳島日日新報社を経て、昭和11(1936)年、毎日新聞社に入社。昭和12(1937)年、支那事変に応召され、昭和13(1938)年、応召解除。同年10月には、『一等兵戦死』が春秋社から刊行され、同書は昭和13年上期の直木賞候補となる。昭和19(1944)年、従軍記者としてビルマ戦線へ派遣、昭和21(1946)年に復員。その後は、徳島新聞社編集局長、徳島日本ポルトガル協会理事、四国放送代表取締役社長などを歴任。昭和59(1984)年、腎不全のため逝去。享年70。

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感想・その他

私はこれを読んで、海外ドラマ『バンド・オブ・ブラザース』とダブリました。ドラマ『バンド・オブ・ブラザース』とは、スティーヴン・アンブローズのノンフィクション作品を原作にした2001年製作のテレビドラマのこと。第二次世界大戦時のアメリカ陸軍第101空挺師団第506歩兵連隊第2大隊E中隊の、訓練から終戦までを描いています。

そこに描かれているのは「戦友」。過酷な環境を共有した者しか持つことのできない感情。そこには友情以上のもの「戦友」が存在していました。この本も同じで、著者は「戦線に立ってこの『戦友』という言葉の深さを知った」と言ってます。先ほど笑っていた戦友が、次の瞬間に頭を撃ち抜かれ即死。そんな戦友が話していたのは、祖国日本で待つ親や妻や子供のことでした。一本の煙草を回し喫みし、生命を一つにして戦った者しか持つことのできないものが「戦友」なんでしょう。

この本は昭和13年に発刊されています。太平洋戦争前で、まだまだ日本が元気な頃。戦時中ということもあり、軍部に不都合なことは書かれていないでしょう。戦後に書かれたとても悲惨な戦記物とはちょっと違います。

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