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工藤隆雄著『マタギ奇談』を読んだ感想

ノンフィクション

私的評価

Kindle版(電子書籍)で、工藤隆雄著『マタギ奇談』を読みました(プライム会員は無料で読めました)。

縄文の昔から脈々と受け継がれているマタギ文化。受け継がれた「掟」には、とても深い意味や知恵があることに気づかされます。
一話一話が興味深く、また一話が短いので、スラスラ読み進めることができます。

★★★★☆

『マタギ奇談』とは

内容説明
マタギたちが経験した山での不思議な経験を、長きにわたって取材し、書き下ろした実話譚29編を収録。
2016年に単行本として刊行され、数多くの読者の支持を得た書籍の文庫化。
解説「マタギと末裔たちの不思議な山語り」(高桑信一)。

(内容)
第一章 歴史のはざまで 
マタギが八甲田で見た人影はなんだったのか/菅江真澄と暗門の滝の謎/尾太鉱山跡で見つかった白骨/雪男を求めてヒマラヤに行ったマタギ

第二章 マタギ伝説 
山の神様はオコゼと男根がお好き?/老犬神社由来/サゲフリ/神様になったマタギの常徳/兼吉穴/「鬼は内ー、鬼は内ー」

第三章 賢いクマ 
演技して逃げたクマ/クマに騙されたマタギ/トメ足をしたクマ/スイカ泥棒/真剣白「歯」取り/復讐するクマ/クマを育てる/クマはいかに岩壁の穴に入ったか

第四章 山の神の祟り 
四つグマの祟り/大然集落を襲った山津波は山の神の祟りか/忌み数/クマ隠し/セキド石

第五章 不思議な自然 
大鳥池の巨大怪魚/マサカリ立て/山が教えてくれた

第六章 人間の不思議な話 
濡れ衣/呼ばれる/老マタギと犬

あとがき
文庫のためのあとがき
解説 マタギと末裔たちの不思議な山語り 高桑信一
ヤマケイ文庫

著者等紹介
工藤隆雄[クドウ タカオ]
1953年、青森市生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、新聞・雑誌を舞台に執筆活動を展開。毎日児童小説優秀作品賞、盲導犬サーブ記念文学賞大賞等を受賞。
著書に『定本 山のミステリー 異界としての山』をはじめ、『ひとり歩きの登山技術』『マタギに学ぶ登山技術』『新編 山小屋主人の炉端話』(山と溪谷社)、『富士を見る山歩き』『続・富士を見る山歩き』『富士を見ながら登る山36』(小学館)、『山歩きのオキテ』『富士山のオキテ』(新潮社)等がある。日本大学芸術学部文芸学科講師(ノンフィクション論等)。
山と溪谷社


感想・その他

とても不思議に思ったのは、白神山地の世界自然遺産登録の件です。一見、マタギにとってはとても良さそうな世界自然遺産登録ですが、これには負の側面もあったようです。

白神山地の世界自然遺産登録の経緯は、ざっとこのようになります。発端は1982年に始まった林道計画でした。白神山地のブナ林を伐採して林道を開通させようとしたのです。それに反対運動が起こり、1990年に工事が中止になりました。この反対運動がきっかけとなり、白神山地は世間の注目を集めるようになり、1993年には世界自然遺産へ登録されました。

これだけを見れば、マタギにとってはなにも問題がなさそうですが、良い面ばかりではなかったようです。山を知らない行政による入山規制や、山の成り立ちを無視した維持管理。これらによってマタギは山から追い出されてしまったのです。世界自然遺産への登録が、山で生きるマタギを白神山地とのつながりを断ち切ってしまったのです。

マタギ文化に多大な影響を及ぼした白神山地の世界自然遺産登録。縄文から続くマタギの文化にとって喜ばしい事だったのか、そうでなかったのか…。


ヤマケイ文庫 マタギ奇談

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