外間守善著『私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言』を読んだ感想

私的評価

『私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言』を読みました。
図書館で借りました。メル・ギブソンがメガホンを握った映画『ハクソー・リッジ』を観て、この本に行き着きました。

米軍側に「ありったけの地獄をひとつにまとめた」と言わしめた前田高地の激戦。淡々とつづられている本書ですが、実際は壮絶な戦場での出来事。艦砲射撃の砲弾に当たって早く楽になりたい、そんな気持ちが湧いてくるほどの体験。自分、子供、孫たちには体験して欲しくない、できれば全世界のすべての人たちにも。そんなことを思いました。

★★★☆☆

『私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言』とは

著者は、この戦闘に志村大隊の二等兵として戦闘に参加し、800人中29人という奇跡的な生還を果たした沖縄学の第一人者の外間守善さんです。

内容
沖縄学の第一人者による壮絶な戦争体験記。外間青年の目を通した語り口ながら、一個人の体験に留まらず、戦後明らかにされてきた多くの資料を織り交ぜ構成。巻末には著者同様、沖縄初年兵だった人々の体験記も収録。

著者紹介
外間守善[ホカマ シュゼン]
1924年那覇市生まれ。法政大学名誉教授、沖縄学研究所名誉所長。19歳で現地入隊、最激戦地で戦い、奇跡的な生還をはたす。著書に『定本おもろさうし』『南島文学論』角川書店、『海を渡る神々 死と再生の原郷信仰』角川選書、『沖縄の歴史と文化』中公新書ほか多数。

角川ソフィア文庫

感想・その他

この本は前田高地をめぐる戦闘に特化しており、本の後半部分には当時の上官や、同じ沖縄出身の兵士や、アメリカ軍側の記録など、著者以外の証言が書かれています。こちらの方も読み応えがありますが、それと同時に「前田高地の戦い」を知る上で、大切な資料の一つとなっているのではないでしょうか。

世界を見渡せばキナ臭い話ばかりです。戦後70年以上が経過し、惨たらしい戦争を知る人々が減り続ける今日。戦争を知らないが祖父や親から戦争の話は聞いている我々の世代。しかし、我々の子供たちはまったく戦争を知らない世代となります。そんな戦争を知らない世代が、また戦争を始めてしまうのではないか。こういった本を、全世界で子供たちに読ませて欲しい、切にそう思いました。

最後に一つ。この書だけでは、なかなか現場の状況は理解できませんでした。本書を読むと映画のいい加減さも見えてしまいますが、映画を観てからの方が、より一層この地獄のような戦場をイメージできるのではいかと思いました。


私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言 (角川ソフィア文庫)

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