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磯田道史著『無私の日本人』を読んだ感想

ノンフィクション

『無私の日本人』とは

磯田道史著、2012年に文藝春秋より刊行(文庫本は単行本は2012年)。

『武士の家計簿』で知られる歴史家・磯田道史が書いた江戸時代を生きた3人の人物の評伝。仙台藩吉岡宿の困窮を救うために武士にお金を貸して利子を得る事業を実現させた穀田屋十三郎、ひたすらに書を読み、自ら掴んだ儒学の核心を説いて、庶民の心を震わせた中根東里、幕末の歌人にして、「蓮月焼」を創始した尼僧・大田垣蓮月。有名ではないが、いずれの人物も江戸時代の常識や因習を疑い、ときにはそれと闘い、周囲に流されず、己の信ずる道を突き進むことで、何事かをなした。空気に流され、長いものに巻かれるのが日本人だとすれば、3人は「例外的」日本人である。しかし、磯田道史は3人の人生にこそ日本人がもっとも強く、美しくなるときに発揮する精髄を見出した。それは、己を捨て、他人のために何かをなしたい、とひたむきに思う無私の精神である。評伝にとどまらない、清新な日本人論が登場した。
文藝春秋BOOKS

第1章 穀田屋十三郎
第2章 中根東里
第3章 大田垣蓮月
この三編の小説からなり、「穀田屋十三郎」は、映画『『殿、利息でござる!』の原作となります。

感想

映画『殿、利息でござる!』を観て面白かったので、原作も読んでみました。
映画は、原作を面白おかしく味付けした感じでしょうか。
しかし、阿部サダヲさんが主役だからと言って、決しておちゃらけ映画などではなく、心に響く映画でした。
話の基は、仙台藩の吉岡宿に遺された古文書『国恩記』に書かれている実話です。

吉岡宿の住民が頭を悩ませていたのは、年貢の他に求められる伝馬役という大きな負担でした。その負担に耐えられず、町を後にする住人が一人、二人。穀田屋十三郎はじめとした吉岡宿の行く末を憂い、ある計画を実行します・・・。

この本の中には、映画になった穀田屋十三郎、江戸時代中期の儒学者である中根東里、そして、江戸時代後期の尼僧・歌人・陶芸家である大田垣蓮月の三人について書かれています。
学校の教科書には出てこない、こういった本とかで知るしかかない、ほとんど無名に近い無心の三人でしたが、心に残る人々となりました。

私的評価

当時の時代背景(江戸中期から後期)が詳しく書いてあり、そういうところも興味深く読むことができました。

江戸期には「無私」という哲学が息づいていたと作者は書いてます。
「江戸期の庶民は、親切、やさしさという、この地球上のあらゆる文明が経験したことがないほどの美しさをもっていた」
こういう話を小学校の道徳の時間に勉強して欲しいものです。
これからの日本、経済大国ではなくなっていくかもしれません。しかし、こういう「無私」の心を持った類まれな人達が住む日本。全世界から愛される国。そんな国になっても良いのかもしれません。

★★★★☆

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