私的評価
今村翔吾著『五葉のまつり』を図書館で借りて読みました。石田三成を除いて、私にはあまり馴染みのなかった豊臣政権の五奉行――増田長盛、浅野長政、長束正家、前田玄以。その五奉行が活躍する小説ということで、非常に期待して読み始めました。決して面白くないわけではありませんが、私には少し退屈に感じられる作品でした。
豊臣政権下の政治の裏側を描いた歴史小説でありながら、「仕事の進め方」という観点では現代のビジネスにも通じるものがあり、歴史小説に馴染みのない方でも楽しめる作品ではないでしょうか。
★★★☆☆
『五葉のまつり』とは
今村翔吾著、2024年10月に新潮社から発刊されました。豊臣秀吉の政権を支えた五奉行(石田三成、増田長盛、浅野長政、長束正家、前田玄以)を中心に描いた歴史小説です。彼らが取り組んだ五つの大事業が、それぞれの視点から描いています。出版社内容情報
戦だけが闘いの場じゃない。命と矜持を賭けた任務への挑戦が今、始まる。刀狩り、太閤検地、醍醐の花見など、豊臣秀吉が仕掛けた大事業を縁の下で支えたのは、尊敬と嫉妬のまなざしを浴びながら五奉行と呼ばれるようになった男たち。ぶつかることも多いが互いの才は認め、敵対勢力の横槍をはねのけ、力を合わせて難事に立ち向かう。『八本目の槍』に次ぐ、石田三成をめぐる歴史お仕事傑作巨篇!
内容説明
北野大茶会、刀狩り、太閤検地、瓜畑遊び、そして醍醐の花見。豊臣秀吉が仕掛けた公私に亘る大事業を縁の下で支え、尊敬と嫉妬のまなざしを浴びながらいつしか五奉行と呼ばれるようになった男たち―石田三成、増田長盛、浅野長政、長束正家、前田玄以。出自も思想も異なり、ぶつかることも多いが互いの才は認め、千利休、伊達政宗、徳川家康らの横槍をはねのけ、力を合わせて難事に立ち向かう。すべては天下安寧、そして己を拾ってくれた殿下のため…。今村翔吾が贈る、歴史お仕事傑作巨編。
著者等紹介
今村翔吾[イマムラショウゴ]
1984年、京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。同作で歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。2018年「童神」(刊行時『童の神』と改題)で角川春樹小説賞を受賞。2020年『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞、『じんかん』で山田風太郎賞、2021年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで吉川英治文庫賞、2022年『塞王の楯』で直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
紀伊國屋書店
感想・その他
あの秀吉に取り立てられ、出世を遂げた五奉行の面々。それぞれが卓越した能力を持っていたことは、想像に難くありません。ただ、石田三成を除く4人については、私と同じようにあまり知識も興味も持っていないという方が多いのではないでしょうか。この小説では、各奉行にスポットを当て、彼らがいかにして秀吉に見出され、重用されていったのかが描かれています。しかし、秀吉の死後、彼らがどうなったのかについては触れられていません。そこで気になって、自分で調べてみました。
関ヶ原の戦いの後、三成とともに処刑・自害した奉行、徳川の時代を生き延びた奉行、出家ののちに自害した奉行と、それぞれが異なる道を歩んでいたことが分かりました。その中でも、三成とともに関ヶ原で命を落とし、「もっとも武芸に秀でていなかった」とされる長束正家に、私は特に興味を惹かれ、今では好きな戦国武将の一人となりました。
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